ガイアのうた

「陰徳を積む」の意味は

日本人にとって、本当の「幸せ」とは。こころを失ったすべての日本人へ

たいへん読みやすい春日大社宮司 故葉室頼昭さんの「神道 いきいきと生きる」より抜粋

 

陰徳を積む

 生物のいのちが続くというのは、伝え、順応し、待つ。この三つで生物は進化を続け、いのちを伝えています。この伝統を伝えるということ、そしていろいろな厳しい環境に順応し、去っていくのを耐えて待つことが必要なのです。

 

しかし人間はそれだけではありません。人間が何のためにこの地球上に生まれたのかということが重要なのです。人間は他の生物とはまったく違った目的で誕生したのだと思います。

 つまりそれは神の世界を見て、こんなに素晴らしい美の世界だということを表現するために、神様は人間というものを産み出されたのだと私は考えています。それは人間だけが優れ、他の動物が下等というのではありません。ただ人間は、この目的のために進化を続けているということです。そして人間の場合、ただ進化しただけではいのちは伝わっていかないのです。

 

 そこに「」というものが必要だと私は思っています。とくに日本人はこの徳を積まないと、いのちが子孫に伝わっていかない民族だと思うのです。しかも陰徳という徳です。

 

 この陰徳を積んできた家が今続いているのであって、陰徳を積んでいない家は、いのちというものが続いていないように見受けられるのです。

 

 私は小さい頃よりおふくろから、「陰徳、陰徳」と耳にたこが出来るくらい聞かされて育ちました。友だちのために一生懸命にやって、友だちが何も感謝してくれないこともありました。その話をすると、「それでいい。それが陰徳です。それが子供に伝わっていくから、それはそれでいい。むしろ感謝されないほうがいい」と言われ、わけもわからず、そんなものなのかなと聞いてきました。その意味がいまこの年になってようやく分かってきたのです。

 

 普通、人はこれだけ尽くし世話をしたのだから、感謝してほしいと思うことがよくあります。しかしそうすると、もうそれは陰徳ではなくなってしまうのです。感謝や見返りをいっさい求めない。人の喜ぶことをしていれば、それが一番いいのです。そういうことの積み重ねが陰徳になり、やがて子々孫々にまでその余徳が及んでいくのです。

 

 この陰徳と関連して、大きな努力と小さな結果ということも大切なことです。大きな努力をして小さな結果を望みなさい。この逆をやって小さな努力で大きな結果ばかりをもらっていると、いずれ滅びてしまいます。

 例えば、百万円を儲けるために、Aという努力をして百万円儲かるんだったら、その何十倍も大きなBという努力をして、そして百万円を得るようにしなさい。そうしたら陰徳で栄える。こういうことなんですね。それは努力のわりに儲けが少ない。しかし、そうしたらその分、徳を積んで、続いていくのです。

 

 この世の中というのは、栄えるというのではなく、続くということが一番大切なことなのです。会社がどんなに儲かっていても、潰れてしまっては元も子もありません。何ごとも、いかにしたら続くか、ということを第一に考えるべきなのです。

 

<ガイアのうたおすすめ本>

神道 〈徳〉に目覚める 〈新装版〉

 

 日本人の美しい暮らし方とは。
春日大社元宮司が医学博士の経験をも踏まえ、〈神道〉と〈日本人の心〉を語る感動のロングセラー。〈いのち〉と〈教育〉の真実に触れ、〈本当の幸せ〉を生きるためにいま、我々がなすべきこととは。

 2001年に刊行された『神道 〈徳〉に目覚める』の新装版です。 

 

 

 

神道 見えないものの力 〈新装版〉 (神道コレクション・日本人の美しい暮らし方)

 日本人の美しい暮らし方とは。春日大社前宮司が、医学博士の経験をも踏まえ、〈神道〉と〈日本人の心〉を語る、感動のロングセラー。日本人としての自覚と誇りを取り戻し、自然との共生を説く、〈春日の杜〉からのメッセージ。

 1999年に刊行された『神道 見えないものの力』の新装版です。

 

 

 

 

神道 心を癒し自然に生きる 〈新装版〉

 

日本人の美しい暮らし方とは。〈神道〉と〈日本人の心〉を語る、感動のロングセラー。先駆的な形成外科医として、医療の現場でも、つねに〈平安〉を祈り続けた春日大社前宮司が、日本人の共生と感謝の心を諄々と語る、刮目の書。

 

 

 

 

神道と日本人〈新装版〉 (神道コレクション・日本人の美しい暮らし方)

 日本人はいま、戦後70年をへて重大な岐路に立つ。この滅びの時代に、日本人はいかに考え、いかに生きるべきかを、〈神道〉を踏まえて、切々と語る刮目の書。

1999年に刊行された『神道と日本人』の新装版です。

 

 

 

 

〈神道〉のこころ (神道コレクション・日本人の美しい暮らし方)

 

 日本人の本当の生き方とは。西洋医が東洋の医学を学び、やがて宮司への道を歩むまでの波瀾万丈の半生と、〈本当のこと〉に目覚め生きることの大切さを語ったインタビュー・エッセイ。待望の新装版。

 

 

 

 

にほんよいくに

 

 歴史と伝統につちかわれた生きるための知恵「いのち」を今、子どもたち、おとなたちに伝えたい。形成外科医だった宮司さんからのメッセージ。

 

 

 

 

 

 

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