霞はじめてたなびく
霞たなびくころになりました
2月24日〜28日ころ 「霞始めてたなびく」
「かすみ・霞」の意味をあらためて調べてみました。
たなびいて山のふもとなどに白くぼうっと掛かる(普通には春の)霧。
いちばん身近なところでは 「霞か雲か 匂いぞいずる いざや いざや 見に行かん」ですね。これは説明も不要。
遠くの山々に霞がかかってほのかに見える風景は、いかにも春らしいのどかさです。
この霞、科学的には「霧・きり」と同じものなのだそうです。気象庁ではすべて「霧」で統一しているので気象用語には「霞」はないのだとか。
でも春はやはり霞と呼ばないと雰囲気が出ませんね。昔の人はたなびく霞を春の山々の衣装にたとえてきました。
「霞の衣」「霞の袖」「霞の褄」「霞の裾」・・・
それは春をつかさどる女神「佐保姫・さほひめ」の衣の裾ともいわれます。
春が近づくにつれて、なんとなくおしゃれをしたくなる気持ちになるのは「佐保姫」も同じようですね。
霞がたなびきはじめるというこの時期。薄衣のようなスカーフを、ふんわりと装ってみましょうか。
「美しい暦のことば」山下景子より
「春の神・左保姫」
佐保姫の糸そめかくる青柳をふきなみだりそ春の山かぜ
(佐保姫が糸を染めて掛けている柳の枝を吹き乱さないでおくれ、春の山風よ)
佐保姫は、奈良の都の東方にある佐保山にまします神さま。
方位で「東」が「春」を意味することから、佐保姫は春を掌る神とされてきました。
「佐保山」とは、奈良盆地を流れる佐保川付近にある山々の総称といわれています。
古来、春の野山にかかる霞は、佐保姫の織りなす薄い布であると解され、その情景は、和歌や物語に多く描かれています。
世阿弥の著した脇能物(わきのうもの)「佐保山」も、春霞に誘われて佐保山へ登った藤原俊家が、佐保姫の衣をさらしていると言う不思議な女性たちに遭遇、その夜、木陰で休んでいると佐保姫が現れ、美しく舞ったという幻想的なものです。
冒頭の和歌は、天徳四年(960)、村上天皇が催した「天徳内裏歌合(てんとくのだいりうたあわせ)」において、平兼盛が詠んだ和歌です。
歌合とは、歌人を左右二組に分け、詠んだ歌の優劣を競う行事です。「天徳内裏歌合」は、当代一流の歌人が名を連ね、歌題、調度、装束の色目など、高い趣向が施されたもので、後世の歌合の模範になったといわれています。 神社本庁より転載
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